四谷大塚

「予習シリーズ」「合不合判定テスト」など、言わずと知れた老舗塾。SAPIXやGnobleと異なり、予習が前提の

授業が展開される。標準的な部類に入る教材だろうが、それ故、各校の志望校対策にはプラスアルファが要求される。

【算数】

近年、カリキュラムの進行が速くなっており、6年上のカリキュラムに上がる前にある程度の各単元の習得が

できていないと例題に取り組むこともままならない。しかも例題と銘打っていても簡単な問題とは限らない。

志望校のレベルと自身の実力次第によって、どの問題を取捨選択するかを判断しないと、毎週何をやっているか

徒に時間だけが過ぎていく。幸い例題とステップアップ演習の関係は分かりやすくなっているので、どの例題

や演習問題ができればいいかアドバイスがもらえると進めやすくなるだろう。

【国語】

実は四谷大塚で弁慶の泣き所といえば国語ではないかと推察している。中学受験の有名塾の中で、扱う長文の文字数や

問題数と問題の質、普段の作業量がSAPIXなどと比べるとやや物足りない印象。国語で予習をするといって思い浮かぶ

作業がどれくらいあるだろうか。とりあえず予習シリーズを読んでおくというだけでは予習を前提とした授業である点

を踏まえるとやや物足りない。先生方からの指示があれば別だが、中学受験での国語の長文読解をするときに、何を

すれば得点できるか、という対策は個人の特性や志望校によっても異なるため、何となく勉強した気になっていると

普段の時間を浪費する可能性がある。時間を無駄にしないよう、是非個人にあった専門的なアドバイスを受けたい。

【理科】

教材について、昔と比べて改善された点と改悪された点があると感じている。昔の4科のまとめを知っている方は

今の4科のまとめを見て疑問を抱いたのではないか。現在の4科のまとめは何を意図してあのような形になったのか

今ひとつ判然としない。「まとめ」と銘打っている以上、一通り仕上げればまとめられると信じたいところだが、

個人的には改変前の4科のまとめの方が知識、計算ともにチェックはできたと思う(ただし、解説がなく解答も

チェックしずらかったのは事実である)。それと対照的に、演習問題集は各回の問題量が増えたのはプラス要因

であろう。6年上の演習問題集ではすでに発展的な問題が並んでいるため、基礎が不安な受験生は、是非5年生

の演習問題集を使い、「まとめてみよう」から復習することをお勧めする。

【社会】

知識の習得が中心の教科なので、予習シリーズで流れをつかみ、演習問題集で知識の整理をするという流れが

一般的。塾の授業について言えば、東進の傘下に入る前の四谷大塚は話の上手な先生が各校舎にいたイメージ

が強いが、現在の体制になってからは、普段の授業に携わる魅力的な先生が減ったような気がする。印象的な

先生が展開する授業の内容は記憶に残りやすい。特に暗記の作業が苦手な受験生は、中学受験の先も見据えて

どうすれば知識が自分の身につくか試行錯誤してみるとよい。学校によっては予習シリーズの枠にとどまらない

記述問題が出ることもあるので、志望校特訓のない学校の場合は特に知識を土台に志望校対策に励みたい。

日能研

授業用テキストの「本科教室」と課題用テキストの「栄冠への道」は自らが考えるよう仕組まれたテキストと

言ってよかろう。ただし、予習シリーズと異なり

1.言わんとする結論が書いてない

2.白黒印刷なのでとっつきにくい

という難点を抱える。ここは授業の時間も有効活用して自作ノートでまとめることを意識したい。

自分で考え、問題に適用する作業がよどみなくできる場合は使い勝手が良いテキストである。

また、国語の長文や問題に関しては玄人受けする作りではないか。問題を考えさせることによって

文章のテーマや意図を把握し実力を養成する、という意図が伝わってくる。ただし、やはり結論が

見えにくいため、国語が苦手な受験生にとっては使い勝手が今ひとつと感じるかもしれない。

市販されている「メモチェ=メモリーチェック(理科・社会)」は日能研生も夏休みから使い始め

知識の整理をするが、ベストチェック(国語・算数)は日能研生ですら存在を知らない場合もある。

算数で余程基本に苦労する場合は使用してもよいが、メモチェやベストチェックを1冊こなしたから

といって、すべての範囲が網羅されている訳ではないので注意が必要である。志望校対策が特定の

校舎で実施されるが、実施校舎が遠い場合は時間のロスになるので、家庭教師を検討してもよいだろう。

また、各教科のまとめ、ペースの遅いカリキュラムの先取りに家庭教師を利用するのもよい。